不動産資産運用

初めてのアパート経営!土地や建物以外の創業経費を計算してみよう!

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暗号資産やNFT、不動産投資の記事を執筆しているwebライターの“はじはじ”です。
2022年5月に専業のライターとして独立しました。自分自身も2021年から暗号資産やNFTの投資を開始し、2022年11月現在では30倍強の含み益を得ることができました。このメディアでは、自身の投資記録だけでなく初心者の方でも安心して暗号資産やNFTを取引できるような知識やノウハウを発信していきます。

 

アパート経営を始める時、土地や建物以外に必要な「創業経費」を理解しましょう!

はてな

・土地や建物以外にかかる費用ってどんなものがあるの?

・費用ってどのくらいかかるの? 自分で計算できるのかな?

・それらの費用って、いつごろ払うの?

アパート経営を始めてみたいと思った時に、最初にぶつかるこんなお悩みを解決できる記事をご用意しました!。この記事を読めば、アパート経営が初めての方でも、土地や建物を購入する時に必要になる「経費」を自分で計算することができるようになりますよ!

この記事では、最初にかかる経費のことを「創業経費」と呼んでいます。そして、7つの代表的な項目に分けてそれぞれ自分で計算できるようにしてあります。もちろん、物件を購入検討する為の概算ではありますが、ある程度の精度はあると思いますので、是非ご自身で計算してみてください。

創業経費とは

 土地や建物を購入したり新築する時にはその土地や建物の代金が必要ですが、実際にはそれ以外に諸々の経費がかかります。この経費のことを「創業経費」と呼びます。これは実際にアパート経営を始めた後に発生する経費(=ランニングコスト)と区別する為でもあり、土地や建物を取得する時だけに発生する経費です。

 失敗しない不動産経営をする為に創業経費のことをしっかりと理解しておきましょう!

創業経費のことを把握しておかないと、購入したい物件の正しい「利回り」や「キャッシュフロー」が把握できません。この機会にぜひマスターしましょう。

1、税金関係

 土地や建物を購入したり新築するとさまざまな「税金」が発生します。

 不動産取得税

(定義)土地や建物を取得したり贈与を受けた時に1度だけ課税される地方税です。

 不動産の取得に対して、有償、無償、登記の有無によらず課税対象となります。ただし相続による取得の場合は非対象になります。課税時期は、概ね建物の引渡し(もしくは登記)を終えてから半年後くらい」を目安としてください。

項目 税率 計算式
土地 4% 土地の固定資産税評価額×4%
土地(2024年3月31日までの経過措置) 3% 土地の固定資産税評価額×3%
建物 4% 建物の固定資産税評価額×4%
住宅用建物(2024年3月31日までの経過措置) 3% 建物の固定資産税評価額×3%

(軽減措置について)

 新築・中古住宅、土地、マンションなど購入物件によって、適用される軽減措置が異なります。それぞれについてポイントをまとめますね。詳細については、「不動産取得税」について別の記事でまとめますね。

・「新築住宅」の軽減措置

 建物の固定資産税評価額から1200万円を控除できます。

(計算式)(建物の固定資産税評価額 ー 1200万円) × 3%

税額にすると36万円(1200万円 × 3%)の減額になりますね!

(新築住宅の軽減措置をうける為の条件)

居住用の不動産であること

・住宅の延べ床面積が50〜240㎡以下

 一戸建て住宅以外の賃貸住宅は、各世帯の面積が40〜240㎡以下であること

メモ

賃貸アパートで世帯あたりの面積が40㎡を超えている場合、世帯あたりの固定資産税評価額は1200万円以下になることが多いので、「40㎡を超えるファミリー世帯のアパートの場合、不動産取得が課税されない」ということもよくありますよ!

 新築した建物が「長期優良住宅」の認定を受けた場合には、控除額が1200万円から1300万円に増額されます。

・「中古住宅」の軽減措置

 建物部分の固定資産税評価額から、築年時期ごとに決められた額を控除できます。

(計算式)(建物の固定資産税額ー築年時期ごとに決められた控除額) × 3%

(中古住宅の控除額)

新築された日 控除額
1997年(平成9年)4月1日以降 1200万円
1989年(平成元年)4月1日〜1997年(平成9年)3月31日 1000万円
1985年(昭和60年)7月1日〜1989年(平成元年)3月31日 450万円
1981年(昭和56年)7月1日〜1985年(昭和60年)6月30日 420万円
1976年(昭和51年)1月1日〜1981(昭和56年)6月30日 350万円
1973年(昭和48年)1月1日〜1975(昭和51年)12月31日 230万円
1964年(昭和39年)1月1日〜1972(昭和47年)12月31日 150万円
1954年(昭和29年)1月1日〜1963(昭和38年)12月31日 100万円

(中古住宅の軽減措置をうける為の条件)

自ら居住する為の住宅であること。

・取得した住宅の延べ床面積が50〜240㎡以下

1982(昭和57)年1月1日以降に新築されて新耐震基準を満たすもの→これ以前(1981年12月31日)に建築された住宅については、専門の建築士が行う耐震診断に、住宅取得日の2年前までに適合している必要があります。

・「土地」の軽減措置

 土地の固定資産税評価額に1/2を乗じたのちに最後に軽減額を差し引いて求めます。

(計算式)((土地の固定資産税評価額 × 1/2) × 3%)ー 軽減額

(軽減額の求め方)

 以下のいずれか高い方の金額が軽減額となります

 1、4万5000円

 2、(土地1㎡あたりの固定資産税評価額 × 1/2)    

            ×

   住宅の課税床面積の2倍(200㎡が上限)

            ×

           3%

    *2024(令和6)年3月31日までの経過措置です。

(土地の軽減措置をうける為の条件)

 新築住宅の場合

土地を取得してから3年以内にその土地に住宅を新築すること。かつ新築の建物が立ち上がるまでの間、継続してその土地を所有していること。 

・住宅の新築前に土地を譲渡した場合、土地取得から3年以内に譲渡相手が、その土地に住宅を新築しているこ

住宅を新築後から1年以内にその住宅を新築した人がその住宅の敷地を取得していること(借地では適用されない)。

 中古住宅の場合

土地と住宅の所有者が同一であること。

取得した住宅が中古住宅の軽減要件を満たしていて、かつ土地の取得が住宅取得後の1年以内であること。

 不動産取得税の計算だけでも正確に求めようとすると結構煩雑ですよね。

 注意する点は

・新築住宅、中古住宅、土地についていずれも「軽減措置が受けれる条件」をしつかりと把握する。

・大まかに不動産取得税を求めたい時(大凡の税額を求めたい時)は、

  固定資産税評価額 × 4% (令和6年3月31日までは × 3%)

 と覚えておきましょう。

・固定資産税評価額は、固定資産税評価証明書で確認(土地や中古住宅の場合、購入時に売主から渡されることがほとんどです)するのが一番ですが、大凡で求めたい時は

参考

(土地)土地の売買価格 ×   70%

(建物)建物の売買価格 ×      50% 

 で計算してみてください。

 登録免許税

 (定義)土地や建物を購入したり新築した時に所有権や抵当権を登記しますが、その

     登記をする時に課税される国税です。

 固定資産税評価額に税率を乗じて計算しますが「登記の種類によって税率が違うこと」「軽減措置の適用があること」など注意が必要です。

(軽減措置の適用期限について)

・令和4年度の税制改正により「登録免許税の軽減措置の適用期限が令和6年3月31日まで延長」されました。

・同時に、「築年時要件(取得前20年以内に建築されているか)が廃止されて、「一定の耐震基準に適合している建物」又は「昭和57年1月1日以降の建築された建物」については軽減措置適用対象となりました。

登記の種類 税率(本則) 計算式 軽減措置
土地の所有権移転登記 2.0% 土地固定資産税評価額 × 2.0% 1.5%
建物の所有権移転登記(中古) 2.0% 建物固定資産税評価額 × 2.0% 0.3%
建物の所有権保存登記(新築) 0.4% 建物固定資産税評価額 × 0.4% 0.15%
抵当権設定登記 0.4% 借入額(債権額) × 0.4% 0.1%

・特定認定長期住宅などの認定を受けた建物の場合はさらに軽減されます。

 但し、これら「認定を受けた建物」の要件として「新築」もしくは「建築後使用されたことがない」建物であることが要件になります。新築したり新築建物を購入する方は、

こうした認定住宅に該当していないか、是非確認してくださいね!

 

<特定認定長期優良住宅の軽減措置>

登記の種類 税率(本則) 一般住宅 長期優良住宅
所有権の保存登記 0.4% 0.15% 0.1%
所有権の移転登記(戸建住宅) 2.0% 0.3% 0.2%
所有権の移転登記(マンション) 2.0% 0.3% 0.1%

<認定低炭素住宅の軽減措置>

登記の種類 税率(本則) 一般住宅 低炭素住宅
所有権の保存登記 0.4% 0.15% 0.1%
所有権の移転登記 2.0% 0.3% 0.1%

 登録免許税は、土地建物の登記時に土地家屋調査士や司法書士の先生から登記費用と一緒に請求されることが多いです。

 登録免許税も不動産取得税同様、正確に求めようとすると手続きが煩雑ですが、登録免許税も注意点をまとめておきます。

・特定認定長期優良住宅や認定低酸素住宅に該当しないか確認する。

・大まかに登録免許税を計算したいときは

(土地の移転登記)固定資産税 × 2%(令和6年3月31日までは × 1.5%)

(建物の保存登記)固定資産税 × 2%(令和6年3月31日までは × 0.15%)

(建物の移転登記)固定資産税 × 0.4%(令和6年3月31日までは × 0.1%)

 で計算してみてください。

 印紙税

 (定義)不動産売買契約書や領収証などの経済取引に伴って作成される一定の文書(課税文書)

     に課せられる国税です。

 印紙税法に定められた金額の「収入印紙」をこれらの文書に貼り付け消印をすることにより印紙税を納めます。印紙税も文書の種類や金額によって税額が異なります。細かい税額一覧表は国税庁のホームページからダウンロードできます。

比較的取引の多い価格帯の印紙税額をまとめておきますので参考にしてくださいね!

不動産売買契約書・金銭消費貸借契約書 建築請負契約書・設計業務委託契約書
契約金額の範囲 印紙税額 契約金額の範囲 印紙税額
500万円を超え1千万円以下 1万円 500万円を超え1千万円以下 1万円
1千万円を超え5千万円以下 2万円 1千万円を超え5千万円以下 2万円
5千万円を超え1億円以下 6万円 5千万円を超え1億円以下 6万円
1億円を超え5億円以下 10万円 1億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 20万円 5億円を超え10億円以下 20万円
10億円を超え50億円以下 40万円 10億円を超え50億円以下 40万円

(軽減措置について)

平成26年4月1日から令和6年3月31日までに作成されるものについては、印紙税の軽減措置が適用されます。軽減税額は以下の通りです。

不動産売買契約書・金銭消費貸借契約書 建築請負契約書
契約金額の範囲 印紙税額 契約金額の範囲 印紙税額
500万円を超え1千万円以下 5千円 500万円を超え1千万円以下 5千円
1千万円を超え5千万円以下 1万円 1千万円を超え5千万円以下 1万円
5千万円を超え1億円以下 3万円 5千万円を超え1億円以下 3万円
1億円を超え5億円以下 6万円 1億円を超え5億円以下 6万円
5億円を超え10億円以下 16万円 5億円を超え10億円以下 16万円
10億円を超え50億円以下 32万円 10億円を超え50億円以下 32万円

・建設工事とは、建設業法第2条第1項に規定する土木建築に関する工事全般のことであり、建設に該当しない設計業務委託契約書は、軽減措置の対象には該当しませんのでご注意くださいね!。

固定資産税・都市計画税

 (定義)固定資産税は、毎年1月1日現在での土地・建物の所有者に課せられる地方税

     で、都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業に要する費用に充てる為

     に課税される地方税です。

 

(計算式)固定資産税:固定資産税評価額 × 1.4%

     都市計画税:固定資産税評価額 × 0.3%

 これらの税金は、土地建物を所有すると毎年課税されますが、「創業経費として発生する固定資産税・都市計画税」とは、

 「土地建物の購入について、所有権を移転した日から翌年の固定資産税・都市計画税等の計算起算日の前日までの固定資産税・都市計画税」のことです。

この固定資産税・都市計画税は買主が負担しなければなりません。1年分の固定資産税・都市計画税は売主が納税しているので、日割計算で「所有権が移転した以降の固定資産税・都市計画税」を支払わなければなりません。不動産売買代金の決済時に同時に支払うことが殆どです。

 創業経費(税金関係)のまとめ

・想定すべき税金は「不動産取得税」「登録免許税」「印紙税」「固定資産税・都市計画税」の4つです。

・不動産取得税は「土地や建物の評価額 × 3〜4%」

・登録免許税は、土地や建物の所有権移転登記は「土地や建物の評価額 × 2%」

        建物の保存渡登記は「建物の評価額 × 0.4%」

        抵当権の設定登記は「借入額 × 0.4%」

・印紙税は、契約金額に応じて印紙税額が定められています(印税額一覧表を国税庁の

 ホームページを確認してみてください)。

・所有権が移転した以降の固定資産税・都市計画税は、買主負担になるので日割計算で

 計算しておきましょう。

2、ローン関係

 土地建物の購入費の全部もしくは一部をローンで手当する場合、ローン関係の費用が発生します。「ローン保証料」「ローン事務手数料」、新築する場合には「工事期間中金利」などが発生します。

ローン保証料

(定義)ローンの債務者が金融機関へ返済ができなくなった際、保証会社に返済してもらう為に    

    保証会社と保証契約を結ぶ際に発生する費用です。

 ローン保証料は、金融機関によっては必要でない場合もありますが、その場合は金利などのその他の諸条件が厳しくなる可能性もあります。

 ローン保証料の額は、金融機関によって違いはありますが、概ね

  ローン保証料 = 借入金額 × 2%

と思って下さい。

 金融機関によっては、融資期間ごとに設定してある場合もあります。

参考までに千葉銀行(千葉銀保証(株))の例をみておきましょう!

貸出期間 保証料 貸出期間 保証料
5年 4,580円 25年 17,254円
10年 8,544円 30年 19,137円
15年 11,982円 35年 20,888円
20年 14,834円

                                                               (貸出金額:100万円あたり)

 ローン事務取扱手数料

(定義)借入を利用して土地建物を購入する場合に発生する金融機関に支払う所定の事務手数料です。

 ローン事務手数料は、利用する金融機関や融資金額にもよりますが、概ね3〜5万円と考えてOKです。

 ここでも千葉銀行(千葉銀保証(株))の例をみておきましょう。

貸出金額が500万円以下の場合 33,000円
貸出金額が500万円超えの場合 55,000円

 期中金利

 (定義)賃料収入が入る前に、土地代金の支払いや建物代金の支払いが発生し、その支

     払いをローンで手当した時に「支払いから賃料が発生するまでの間に発生する

     金利負担分」のことを「期中金利」といいます。

 土地を購入して建物を新築する場合などは「期中金利」の額が結構大きな額になることがあります。こういう場合は、事前に計算できるようにしておきましょう!

 計算の仕方は、実際に事例をみてもらった方がわかりやすいので、下記の事例を参考にして下さい。

 (事例) <資金計画> 

      土地購入代金 8000万円  建築請負代金(税込)  5500万円

      諸経費     500万円

      ローン   1億3500万円  自己資金         500万円

      金利         2%

      <建物引渡し時期及び初回賃料発生日>

      建物引渡日    令和3年11月30日 

      初回賃料発生日  令和3年12月1日 

 <土地代金期中金利額>

支払い名目 支払い額 支払予定日 金利発生期間 期中金利額
土地代金支払条件 売買契約時金 800万円 令和3年2月1日 10ヶ月 13万3333円
引渡し時金 7200万円 令和3年3月31日 8ヶ月 96万円
             合計 109万3333円

(計算方法)

土地の引渡し時金の期中金利を計算してみましょう!

 (手順1)支払月から実際に賃料が入金するまでに何ヶ月あるかと確認する

      →(事例)の場合、令和3年4月から令和3年11月までの8ヶ月ですね!

 

 (手順2)1ヶ月の金利負担分の金額を把握します。

      →7200万円 × 2% ÷ 12(ヶ月) = 12万円

 (手順3)手順1で確認した月数(事例では8ヶ月)を手順2で把握した「1ヶ月の

      金利負担分の金額に掛け算します。

      →8ヶ月 × 12万円 = 96万円

 正確には、金融機関に計算してもらうのが一番ですが、購入検討段階ではなかなか金融機関にも頼み辛いですよね。この計算方法は正確とは言えませんが、購入検討段階で期中金利の目安額を把握するには十分だと思います。

建物の工事期間中の期中金利も計算しておきましょう!

<建物工事期間中の金利額>

支払い名目 支払い額 支払予定日 金利発生期間 期中金利額
請負契約時金 500万円 令和3年4月1日 8ヶ月 6万6666円
着工時金 2000万円 令和3年6月1日 6ヶ月 19万9999円
中間時金 2000万円 令和3年8月31日 3ヶ月 9万9999円
引渡し金 1000万円 令和3年11月30日 0ヶ月 0円
             合計 36万6664円

 建物を新築する予定物件の場合、購入検討段階で建物の引渡時期の情報は得られると思います。建物代金の支払い方法は、建築業者にもよりますが、概ね、契約時(1割程度)その後は、着工時、中間時(上棟時)、引渡し時の3回に分けて支払うことが多いと思います。計算段階では、契約時金10%、着工時金30%、中間時金30%、引渡し時金30%で計算して良いと思います(事例は計算しやすいように少しアレンジしてます)。

 事例の場合、土地建物の期中金利は、合計すると146万円となります。意外と大きな金額になりますので、新築する場合には特に期中金利は要注意ですよ!

期中金利やローン保証料などのローン関係費用は、金融機関がローンを実行する際に、必要となった「期中金利額」や「ローン保証料」などを予め差し引いて振込をしてきます。上記の例では、建物の最終時金1000万円を支払う時に期中金利分146万円を差し引いて854万円の振込がある感じですね。さらに、ローン保証料、ローン事務手数料が差し引きされて振り込まれます。

3、登記関係 

 登記関係は、「税金関係」のところで説明した「登録免許税」と連動するところが多いです。土地建物の購入や新築に伴う登記には「所有権移転登記」、「所有権保存登記」、「建物表題登記」、「抵当権設定登記」があります。まず、それぞれの定義からみていきましょう!

所有権移転登記

(定義)土地や建物の所有権が売買などによって移った時に所有権を明確にする為の登記

    です。不動産を売却した時に、買主に所有権が移ったことを証明する登記です。

所有権保存登記 

定義)所有権の登記のない不動産について最初に行われる登記です。注文住宅を新築し

    た時や新築の建売住宅や新築マンションを購入した時に、所有権の保存登記をす    

    ることで、その所有権が自分にあることを明示します。

建物表題登記

(定義)まだ公的に登記がされていない「建物」について、不動産の存在を公的に登録す

    る為のもので、所有権などの権利に関する登記の前提となる登記です。

抵当権設定登記

(定義)所有権の登記がある不動産に、金融機関が担保権を設定する登記です。

 それぞれの登記について「かかる費用の目安」をみていきましょう!

登記の種類 担当 費用の目安
所有権移転登記 司法書士 5〜10万円
所有権保存登記 司法書士 5〜10万円
建物表題登記 土地家屋調査士 10〜15万円
抵当権設定登記 司法書士 5〜10万円

 所有権移転登記について、土地、建物それぞれについて上記の費用がかかります。

土地建物をローンで手当すると、登記費用は最大で50万円程度かかる可能性がありますね。

登記費用の支払いは各登記が終了した段階になります。概ね土地や建物の引き渡しがあって1ヶ月位が目安となります。

4、保険関係

 保険関係で押さえておくべき保険は「火災保険」と「地震保険」です。それでは、まず定義からみていきましょう!

火災保険

(定義)自然災害や人災が生じた時に、その損害に合わせて補償を受けられる保険のことです。

 火災保険の補償対象は「建物」と「家財」の2つがあることに注意して下さい。「建物」はアパート・マンション自体のこと、「家財」は、アパート・マンションなどの居室内にある財産(PCやTV、ソファなど)が補償対象になります。

地震保険

(定義)地震や津波、火山の噴火を原因とする建物被害に対して補償される保険です。

    通常は、火災保険に付帯して契約する必要があり地震保険だけの契約はできません。

    

 それぞれの保険について注意点・かかる費用の目安をみていきましょう!

火災保険

(注意点1)火災保険の契約期間は「最長で10年」です。11年目以降に更新する場合は再度契約、若しくは更新が必要です。

(注意点2)火災保険は、地域、建物の構造、加入期間などによって変更しますので一概にどのくらいということはできません。詳しくは、各損害保険会社のホームページで確認してみて下さい。

(火災保険料の目安)ここでは東京と北海道の火災保険料を構造別にみていきましょう!

 特約火災住宅物件の火災保険料(火災保険金額(=建物購入費)1000万円あたり)

A B C D
構造 鉄筋コンクリート造

鉄骨造(耐火被覆)

鉄骨造 省令準耐火構造

一部の2×4住宅

木造

外壁が不燃材

東京都 3700円 7500円 7500円 1万900円
北海道 3500円 9400円 9400円 1万2000円

(例)建築地:東京都 鉄筋コンクリート造 建築費3億円

   3億円 ÷ 1000万円 = 30

   3700円 × 30 = 11万1000円/年

上記は、あくまで「購入検討段階での目安」として下さいね!。実際に購入が決まったら各損害保険会社から見積もりをとって検討して下さい。保険会社によって、支払い保険料が大きく変わることはないと思いますが、ご自身で補償したい範囲についてはよく吟味して選んで下さいね。

地震保険

(注意点1)地震保険の契約期間は「最長で5年」です。6年目以降に更新する場合は、再度契約、若しくは更新が必要です。

(注意点2)地震保険の補償対象は「建物」と建物内部にある「家財」です。

(注意点3)上記の火災保険では、「地震が原因とされる火災」については補償されませのでご注意下さい。

(注意点4)地震保険で補償される保険金額は、火災保険とは別に、火災保険金額(=建物購入費)の30〜50%とされています(言い方を変えれば、全焼しても半分までの金額しか補償されないということですね)。

(注意点5)地震保険で補償される補償額には上限があり、建物の場合は5000万円、家財の場合は1000万円までと決められています。

(地震保険料の目安)地震保険料(5年)は、火災保険料(10年)とほぼ同じくらいにとなるケースが多いです(あくまで参考にしてくださいね!)。地震保険も火災保険同様、実際に購入が決まったら、各損害保険会社から見積もりを取得して下さい。

火災保険も地震保険も保険の性質上、その効力を発揮する為に引き渡しと同時に保険料を支払わないと保険の効力が機能しません。「保険料の支払い=引き渡し日」を覚えておいてください。引き渡し日までは、建築業者が建築建物に対して保険に加入していますが、殆どの場合、引き渡しと共に建築業者は保険を解約しますので、注意してくださいね。

5、測量費・調査関係

 土地を購入する場合の境界確定に伴う測量費はほとんどの場合売主負担ですので必要にならない場合が多いですが、建物を新築する場合には、建物を建築する為の費用として、「現地調査費」、「地盤調査費」や「ボーリング調査費」がかかる場合があります。

 2〜3階建てのアパート、マンション建築であれば、「現地調査費」、「地盤調査費」でOKです。

現地調査費

・建築をする為に土地寸法を測るだけでなく、土地の高低差や全面道路との接道状況、下水道やガスなどのインフラ整備調査、行政指導調査などを含みます。このあたりの基本的な情報が建築には必要ということですね。

費用的には「約10万円程度」です。

・費用支払い時期は、調査結果書類到着後2週間以内くらいを目安としてください。

地盤調査費

・2〜3階建ての木造アパートや軽量鉄骨造マンション等であれば「スウェーデンサウンディング調査で十分です。10〜15mの深度までの調査ですが、地盤改良が必要か否かの判断をすることができます。調査時間は半日程度で終了します。

費用的には「約10万円程度」です。

・費用支払い時期は、調査結果書類到着後2週間以内くらいを目安としてください。

・中高層マンション等を建築する場合には「ボーリング調査」を実施します。ボーリング調査では、深さ1mごとに標準貫入試験を行い土のサンプルを採取します。鉄筋コンクリート造などは、木造や軽量鉄骨造に比べて荷重が大きいので、この荷重に耐えれる強度のある地盤が何メートルの深度のところにあるかを確認する必要があります。ボーリング調査はそのための調査です。

・費用的には、建物の規模により変動しますが一般的には「20〜30万円程度」です。

・費用支払い時期は、調査結果書類到着後2週間以内くらいを目安としてください。

 土地を購入して建物を新築する場合は、「中古建物を購入」したり「新築建物を購入」するのと比べて、建築する為の費用がかかります。さらに建物が出来上がるまでに最低でも4〜6ヶ月程度の時間が必要になりますので、アパート経営を考える時には、このあたりも含んで考える必要がありますね。

6、不動産仲介手数料

不動産仲介手数料

 土地や建物を購入する時に発生する「不動産会社に支払う手数料」のことを不動産仲介手数料といいます。

 不動産会社は、物件の売却だけでなく「売主と買主の契約条件の調整」、「契約書の作成」、「契約から引渡しまでの事務手続き」などを行い、売主と買主の間に立って両者の契約を成立させます。

 この一連の作業を不動産の仲介と呼び、手数料が発生すると覚えておいて下さい。

・不動産仲介手数料の上限額

 不動産会社が受け取れる手数料は、宅地建物取引業法により上限が定められています。

取引物件価格(税抜) 仲介手数料の上限
400万円超 取引物件価格(税抜)× 3% + 6万円 + 消費税
200〜400万円以下 取引物件価格(税抜)× 4% + 2万円 + 消費税
200万円以下 取引物件価格(税抜)× 5% + 消費税

 不動産の取引は、一般的には400万円よりも高くなることが多いので、手数料は

  取引物件価格(税抜) × 3% + 6万円 + 消費税

として認知されていることが多いようですね。

・不動産手数料の支払い時期は、土地・建物の売買代金決済時です。

7、その他

 上記6項目以外に、場合によりかかる費用や少額費用などについてまとめておきます。

水道負担金

 建物を購入する場合は買主が負担する必要はありませんが、新築する場合には地域や場所によって「水道負担金」などが必要となる場合があります。東京の都市部などのようにそもそもこうした負担金が必要ないエリアもありますので、土地を購入して自分で新築する場合には、負担金の有無を不動産会社に確認しておきましょう!

 他に「建築負担金」や「開発負担金」等もありますが、2〜2階建のアパート・マンションを建築する場合に必要となる負担金は殆どの場合、「水道負担金」です。新築を検討される方は、まず「水道負担金」を確認しておきましょう。

(定義)新たに水道を設置する場合や既存の水道の口径を増やす場合などに、水道加入金

    として水道局に支払う費用。

(1世帯あたり納付額:例 千葉県営水道)

口径 金額
13㎜(1Kなど) 110,000(うち10,000円は消費税)円
27㎜(ファミリー世帯など) 297,000(うち27,000円は消費税)円

例えば、1K8世帯のアパートですと

 110,000円 × 8(世帯) = 880,000円

の負担金が必要になるということです。  

ファミリー世帯ですと

 270,000円 × 8(世帯) = 2,376、000円

 このように、場合により結構な負担額になって来るので「水道負担金の必要なエリアか」、かかるとしたら「どのくらいかかるか」は事前にチェックしておいて下さいね!

・水道負担金は、建物の建築確認許可後、水道業者が給水の為の申請(水道メーターの申請など)をした後、1〜2ヶ月程度で納付書が水道局から送られてきます。建築業者が工事をする為に現地に仮設の水道を引き込む為にも、この水道負担金の納付が終了していなければなりません。その為、納付書が水道局から届いたら、即時支払いをすることが多いです。

近隣対策費

 こちらも新築する場合に発生するかもしれない費用です。

(定義)新築した建物によって隣家等に与える「日陰」の影響や「電波障害」を解消した

    り軽減する為に要する費用。

 場合により工事期間中の騒音や振動に対してクレームが生じることもあります。

(近隣対策費の目安)

 近隣対策費は、実際に発生するか否かはわかりませんが、計画段階で費用として見こむのであれば「物件価格(税抜)の0.5〜1%程度」を見込んでおいて下さい。

 5000万円の物件であれば「25〜50万程度」ということです。ただし上限値は、200万円位までと考えておいて良いと思います。

費用の支払い時期は、対応の都度必要になります。

式典費用

 こちらも新築する場合に発生する可能性のある費用です。

建物を新築する場合には、着工前に「地鎮祭」、上棟時に「上棟式」、竣工時に「竣工式」などの式典や祭事を行うことがあります。

 今では、随分と少なくなりましたが「地鎮祭」や「上棟式」が終了した後に「直会(なおらい)」と行って、工事の安全完工を記念して、工事に携わる関係各位に食事やお酒を振る舞うことがあります。

 こうした式典にかかる費用をまとめておきましょう!

初穂料(神主に支払う費用) 3〜5万円
奉献酒及び供物 5000円〜1万円
舞台設定費用(参加人数による) 8〜10万円(10〜15人程度)
直会費用(参加人数による) 10万円(10人程度)

こうした式典にかかる費用は、建築業者によっては建築費用に含まれているケースもありますので、建築業者に確認してみて下さい。自分で手当する場合は、各式典開催時に費用発生します。この頃では、アパートやマンションなどの事業系の建物の場合、式典はやらないで済ますことも多くなってきています。

 土地や建物以外にも、必要となる費用はたくさんあることがお分かり頂けたと思います。一概には言えませんが、創業経費は「土地・建物などの物件価格の8〜10%程度」必要になると思います。

 土地・建物を購入したり、購入した土地に建物を新築したり、又は、相続によって取得した土地にアパートを建てたりなど、計画の仕方は様々で、それによって必要になる創業経費も変わって来るので、ご自身の計画に合わせて、この記事を参考にして「創業経費」を計算してみて下さい。

 銀行で融資をうける場合に「フルローン(全額融資)」で資金手当する方もいらっしゃいますが、この「フルローン」の場合でも、これら「創業経費」は自己資金で手当することを求められます。すなわち、最低でも創業経費分の現金は必要になるということですね。

 因みに、フルローン+創業費まで融資してもらう場合もありますが、この場合は一般的には「オーバーローン(全額+経費の融資)」ということになります。物件自体の収益性や計画をしている方の与信状況によって、融資内容も変化しますので、ローンを利用する場合は、金融機関ともよく相談しましょう!

 最後に、創業経費についてまとめておきます。

・創業経費は「税金関係」「ローン関係」「登記関係」「保険関係」「測量・調査関係」

 「不動産仲介手数料」「その他」の7つ。

・土地・建物を購入する場合とか、土地は所有していてアパートだけ新築するなど、計画

 の仕方によって、必要になる創業費は変化するので注意すること。

・創業経費は、概ね事業費(土地、建物の代金)の8〜10%くらいが目安となる。

失敗しないアパート経営をする為にも、ご自身で「創業経費」を計算できるようになりましょう。

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はじはじ

一部上場大手会社を57歳で退職し関連会社に転職。新たに7000万円を全額借金で調達。59歳で関連会社を退職しフリーランスに! 同時に始めた「ビットコイン投資」、「不動産投資」の実録ブログです。ブログの収益化情報もお伝えしていきますね。

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